今改めて思考を《巻き直し》する
2012年11月10日 TCG全般 コメント (2)Archer. (4-0)
Standard Daily #4485719 on 10/29/2012[MO][Hand]
3 《島》
1 《山》
4 《氷河の城砦》
4 《神聖なる泉》
4 《蒸気孔》
4 《硫黄の滝》
4 《断崖の避難所》
2 《僻地の灯台》
-土地(26)-
4 《ボーラスの占い師》
4 《修復の天使》
-クリーチャー(8)-
4 《火柱》
3 《灼熱の槍》
3 《熟慮》
1 《本質の散乱》
2 《イゼットの魔除け》
3《雲散霧消》
4 《巻き直し》
2 《中略》
1 《小悪魔の遊び》
3 《スフィンクスの啓示》
-呪文(26)-
3 《聖トラフトの霊》
3 《イゼットの静電術師》
2 《墓場の浄化》
3 《否認》
2 《拘留の宝球》
2 《至高の評決》
このデッキを見た時少なからず衝撃を受けた。
ジェイスが入っていないだとかそんなチャチなことではなく、今のご時勢《巻き直し》を4枚いれて許容されるデッキがあったのか、と。
《巻き直し》はウルザズサーガ以前からプレイしている古参プレイヤーであれば少なからず思い入れもあるカードだと思う。M13で再録されながらほとんど見向きもされなかったこのカードを今一度再考してみようと思う。
○《巻き直し》というカード
Rewind / 巻き直し (2)(青)(青) インスタント
呪文1つを対象とし、それを打ち消す。土地を最大4つまでアンタップする。
これが《巻き直し》の全てである。それ以上でもそれ以下でもない。
俗にいうフリースペルではあるものの、能動的に使えるカードではないので当然ながら使えるデッキ、場面は限られてくる。
よく初心者に勘違いされがちではあるが、このカードは本質的に「隙の大きい」カウンターである、という点は忘れないでおきたい。
確かに確定カウンターではあるものの、4マナと構えるマナは決して軽くなく、それでいてこのカードはあくまで「解決されなければ土地が起きない」という点が非常に大きく圧し掛かってくる。これは相手のより軽いカウンターに対して弱いということを意味するし、そもそもこれがスタックに乗っている間にインスタントタイミングで動かれるとどうにもならないということでもある。
例えばではあるが、スタンダードの対決で今は相手のターン。自分が5マナを出せるだけの土地をコントロールしていて残りライフは2点、手札が《本質の散乱》、《雲散霧消》、《巻き直し》、《熟慮》だったとしよう。それに対して相手の手札は3枚あり6マナを出せる状態で2マナの2/2クリーチャーをプレイしてきた。通してしまえば次のターン負ける算段は非常に高い。さて、この時のプレイングはどうするべきだろう?
この状況であれば《巻き直し》してから《熟慮》か続くスペルに対するカウンターを構える、といきたいところではあるが、これは間違いだろう。ことこの状況において《巻き直し》こそが一番優先順位の低いスペルとなる。忘れないで欲しいのが、今の環境は瞬速クリーチャーがかなりいる環境だということだろう。黒単色であればほぼその心配がないが、白であれば《修復の天使》、青であれば《瞬唱の魔道士》、緑であれば《ウルフィーの報復者》、赤であればそもそも火力、他にも《セレズニアの魔除け》という風に《巻き直し》の天敵とも言えるものが溢れている。相手に4マナが立っているという状況を考えるなら、この中では《巻き直し》こそがもっとも隙の大きなカウンターであると言える。既に一度それらを見ているのなら尚更だ。勿論2マナクリーチャーが3枚あるという可能性も十分だが、それでもこの状況ではまず《本質の散乱》から入るべきだろうと自分は考える。
この状況はどちらにしても博打性の高い賭けである。ならば見えている今までの情報から考えなければいけない。そういう場面の決断では本質的に秘めた隙の大きさが非常に大きく圧し掛かってくるのである。
○今の環境における《巻き直し》
ではそんな《巻き直し》をなぜ4枚許容できたのか?
それは今の環境とデッキの構築が全てと言えるだろう。
まず今の環境は随分とゆっくりとしたスピードに落ち着いている。少し前までは1ターン目に3/2飛行が出てきた環境であったことを考えると、そもそも4マナのカウンターに居場所などは有り得なかった。しかし今は違う。爆発的に速いデッキはゾンビかセレズニア程度しかなく、それらに対する対策が多くシェアをコントロールデッキやリアニメイトに奪われているのが現状である。つまり環境的にスピードが遅くなったといえる。全体的なスピードが遅くなったのなら例え4マナのカウンターでも活きてくるというわけだ。
またデッキの構築もこのデッキの場合他とは大きく異なっている。このデッキは所謂トリコロールというものにおける白青パーミッションタッチ赤、ではなくカウンターバーンタッチ白、というほうがしっくりくる。
序盤を支えるのは大量の軽量火力とそれを探しだす《ボーラスの占い師》であり、序盤に使えるカウンターはわずかに《本質の散乱》と《中略》の3枚しかない。優先して選ばれているカウンターは《雲散霧消》と《巻き直し》という重めの確定カウンターだ。つまり序盤は火力で封じ込め、余力が出る中盤以降を確定カウンターでシャットアウトするという構図が浮かび上がる。
そして前述したが、最大の敵は最大の味方でもある。《巻き直し》を採用することによって大量のインスタント呪文や《修復の天使》を隙なくプレイできるということにも繋がる。《修復の天使》は既に使用済みである《ボーラスの占い師》をリフレッシュさせ、さらなる火力なりカウンターなりを探すことも出来る。
これらの要因が重なれば、いかに重い《巻き直し》といえど十分な居場所を見つけることが出来る。カウンターバーンという形は本当に有効で、そもそもカウンター同士の対決に強い《修復の天使》と火力によりライフを詰める戦略も取れるし、序盤を徹底的に火力でコントロールするという戦略も取れる。環境的に見ても今のスタンダードは《巻き直し》を十分許容できる環境であると言えるだろう。既に1マナ3/2飛行は絶滅危惧種なのだから。
○改めての《巻き直し》
とは言え本質的な隙の大きさは変わっていない。幾ら環境が変わったと言っても、《巻き直し》を採用するのであればその大きな隙を埋める形でデッキも考えなければならないだろう。そういう意味ではこのデッキは理想的な形とも言える。
カウンターの質低下が叫ばれて久しいが、そんな時代にあっても《巻き直し》まで入ったヘビーパーミッションがこうやって存在できることを証明してくれた。今改めてカウンターというものの価値、意味を《巻き直し》してみるというのもいいのではないだろうか。
とかなんとか偉そうに色々言ってますが、《巻き直し》というカードがお気に入りなのは確かです。だからこそこんな日記を書いたというか。
US以前からやっていた身からすればこのカードに苦しめられたこともあれば救われたことも何度もあり思い入れがあります。今またいい機会だからこれを使ってみるのも楽しそうですね。
Standard Daily #4485719 on 10/29/2012[MO][Hand]
3 《島》
1 《山》
4 《氷河の城砦》
4 《神聖なる泉》
4 《蒸気孔》
4 《硫黄の滝》
4 《断崖の避難所》
2 《僻地の灯台》
-土地(26)-
4 《ボーラスの占い師》
4 《修復の天使》
-クリーチャー(8)-
4 《火柱》
3 《灼熱の槍》
3 《熟慮》
1 《本質の散乱》
2 《イゼットの魔除け》
3《雲散霧消》
4 《巻き直し》
2 《中略》
1 《小悪魔の遊び》
3 《スフィンクスの啓示》
-呪文(26)-
3 《聖トラフトの霊》
3 《イゼットの静電術師》
2 《墓場の浄化》
3 《否認》
2 《拘留の宝球》
2 《至高の評決》
このデッキを見た時少なからず衝撃を受けた。
ジェイスが入っていないだとかそんなチャチなことではなく、今のご時勢《巻き直し》を4枚いれて許容されるデッキがあったのか、と。
《巻き直し》はウルザズサーガ以前からプレイしている古参プレイヤーであれば少なからず思い入れもあるカードだと思う。M13で再録されながらほとんど見向きもされなかったこのカードを今一度再考してみようと思う。
○《巻き直し》というカード
Rewind / 巻き直し (2)(青)(青) インスタント
呪文1つを対象とし、それを打ち消す。土地を最大4つまでアンタップする。
これが《巻き直し》の全てである。それ以上でもそれ以下でもない。
俗にいうフリースペルではあるものの、能動的に使えるカードではないので当然ながら使えるデッキ、場面は限られてくる。
よく初心者に勘違いされがちではあるが、このカードは本質的に「隙の大きい」カウンターである、という点は忘れないでおきたい。
確かに確定カウンターではあるものの、4マナと構えるマナは決して軽くなく、それでいてこのカードはあくまで「解決されなければ土地が起きない」という点が非常に大きく圧し掛かってくる。これは相手のより軽いカウンターに対して弱いということを意味するし、そもそもこれがスタックに乗っている間にインスタントタイミングで動かれるとどうにもならないということでもある。
例えばではあるが、スタンダードの対決で今は相手のターン。自分が5マナを出せるだけの土地をコントロールしていて残りライフは2点、手札が《本質の散乱》、《雲散霧消》、《巻き直し》、《熟慮》だったとしよう。それに対して相手の手札は3枚あり6マナを出せる状態で2マナの2/2クリーチャーをプレイしてきた。通してしまえば次のターン負ける算段は非常に高い。さて、この時のプレイングはどうするべきだろう?
この状況であれば《巻き直し》してから《熟慮》か続くスペルに対するカウンターを構える、といきたいところではあるが、これは間違いだろう。ことこの状況において《巻き直し》こそが一番優先順位の低いスペルとなる。忘れないで欲しいのが、今の環境は瞬速クリーチャーがかなりいる環境だということだろう。黒単色であればほぼその心配がないが、白であれば《修復の天使》、青であれば《瞬唱の魔道士》、緑であれば《ウルフィーの報復者》、赤であればそもそも火力、他にも《セレズニアの魔除け》という風に《巻き直し》の天敵とも言えるものが溢れている。相手に4マナが立っているという状況を考えるなら、この中では《巻き直し》こそがもっとも隙の大きなカウンターであると言える。既に一度それらを見ているのなら尚更だ。勿論2マナクリーチャーが3枚あるという可能性も十分だが、それでもこの状況ではまず《本質の散乱》から入るべきだろうと自分は考える。
この状況はどちらにしても博打性の高い賭けである。ならば見えている今までの情報から考えなければいけない。そういう場面の決断では本質的に秘めた隙の大きさが非常に大きく圧し掛かってくるのである。
○今の環境における《巻き直し》
ではそんな《巻き直し》をなぜ4枚許容できたのか?
それは今の環境とデッキの構築が全てと言えるだろう。
まず今の環境は随分とゆっくりとしたスピードに落ち着いている。少し前までは1ターン目に3/2飛行が出てきた環境であったことを考えると、そもそも4マナのカウンターに居場所などは有り得なかった。しかし今は違う。爆発的に速いデッキはゾンビかセレズニア程度しかなく、それらに対する対策が多くシェアをコントロールデッキやリアニメイトに奪われているのが現状である。つまり環境的にスピードが遅くなったといえる。全体的なスピードが遅くなったのなら例え4マナのカウンターでも活きてくるというわけだ。
またデッキの構築もこのデッキの場合他とは大きく異なっている。このデッキは所謂トリコロールというものにおける白青パーミッションタッチ赤、ではなくカウンターバーンタッチ白、というほうがしっくりくる。
序盤を支えるのは大量の軽量火力とそれを探しだす《ボーラスの占い師》であり、序盤に使えるカウンターはわずかに《本質の散乱》と《中略》の3枚しかない。優先して選ばれているカウンターは《雲散霧消》と《巻き直し》という重めの確定カウンターだ。つまり序盤は火力で封じ込め、余力が出る中盤以降を確定カウンターでシャットアウトするという構図が浮かび上がる。
そして前述したが、最大の敵は最大の味方でもある。《巻き直し》を採用することによって大量のインスタント呪文や《修復の天使》を隙なくプレイできるということにも繋がる。《修復の天使》は既に使用済みである《ボーラスの占い師》をリフレッシュさせ、さらなる火力なりカウンターなりを探すことも出来る。
これらの要因が重なれば、いかに重い《巻き直し》といえど十分な居場所を見つけることが出来る。カウンターバーンという形は本当に有効で、そもそもカウンター同士の対決に強い《修復の天使》と火力によりライフを詰める戦略も取れるし、序盤を徹底的に火力でコントロールするという戦略も取れる。環境的に見ても今のスタンダードは《巻き直し》を十分許容できる環境であると言えるだろう。既に1マナ3/2飛行は絶滅危惧種なのだから。
○改めての《巻き直し》
とは言え本質的な隙の大きさは変わっていない。幾ら環境が変わったと言っても、《巻き直し》を採用するのであればその大きな隙を埋める形でデッキも考えなければならないだろう。そういう意味ではこのデッキは理想的な形とも言える。
カウンターの質低下が叫ばれて久しいが、そんな時代にあっても《巻き直し》まで入ったヘビーパーミッションがこうやって存在できることを証明してくれた。今改めてカウンターというものの価値、意味を《巻き直し》してみるというのもいいのではないだろうか。
とかなんとか偉そうに色々言ってますが、《巻き直し》というカードがお気に入りなのは確かです。だからこそこんな日記を書いたというか。
US以前からやっていた身からすればこのカードに苦しめられたこともあれば救われたことも何度もあり思い入れがあります。今またいい機会だからこれを使ってみるのも楽しそうですね。
コメント
有意義な記事をありがとうございます!カウンターバーンを使ってる身ですが、自分のデッキにも最近巻き直しが入りました。
重い構成のデッキが増えてきてるので、実際使ってて頼もしいですね。
偶々自分の好きなカードを使った好きな形のデッキを見つけてしまったものでちょっと興奮してしまいましたw
こうやってついこの間まで日の目を見なかったカードが使われていると改めて環境が代わったんだなぁと思いますね。メタゲームの移り変わりというのは面白いものです。